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Empathy

Developmental influences on social brain: 

どのような社会環境が、動物の「社会脳」を育てるのか。

Social cognitive function:

動物の “こころ”と未知なる能力の解明をめざす

Empathetic systems in animals:

お互いの気持の理解の原点を探して。

Selected publications

(mouse)

Takefumi Kikusui, Yukino Ishio, Miho Nagasawa, Jeffrey Mogil, Kazutaka MogiEarly weaning impairs a social contagion of pain-related stretching behavior in mice. Developmental Psychobiology, 2016 Dec;58(8):1101-1107

(Dogs)

Nagasawa M, Mitsui S, En S, Ohtani N, Ohta M, Sakuma Y, Onaka T, Mogi K, Kikusui T. Oxytocin-gaze positive loop and the coevolution of human-dog bonds.  Science. 2015 Apr 17;348(6232):333-6. doi: 10.1126/science.1261022.

Maki Katayama, Takatomi Kubo, Kazutaka Mogi, Kazushi Ikeda, Miho Nagasawa, Takefumi Kikusui. Heart rate variability predicts the emotional state in dogsBehavioral Processes, Volume 128, July 2016, Pages 108–112

Akiko Tonoike, Miho Nagasawa, Kazutaka Mogi, James Serpell, Hisashi Ohtsuki, and Takefumi Kikusui Comparison of owner-reported behavioral characteristics among genetically clustered breeds of dog (Canis familiaris)Scientific Reports, 5, 17710, 2015.

Saito A, Hamada H, Kikusui T, Mogi K, Nagasawa M, Mitsui S, Higuchi T, Hasegawa T, Hiraki K. Urinary oxytocin positively correlates with performance in facial visual search in unmarried males, without specific reaction to infant face. Frontiers in Neuroscience. 8, 217, 2014.

Romero T, Nagasawa M, Mogi K, Hasegawa T, Kikusui T. Oxytocin promotes social bonding in dogs. Proc Natl Acad Sci U S A. 2014 Jun 24;111(25):9085-90. 

Miho Nagasawa, Kazutaka Mogi, Takefumi Kikusui, Continued Distress among Abandoned Dogs in Fukushima. Scientific Reports. 2012, 2, Article number: 724 doi:10.1038/srep00724

Mitsui S, Yamamoto M, Nagasawa M, Mogi K, Kikusui T, Ohtani N, Ohta M. Urinary oxytocin as a noninvasive biomarker of positive emotion in dogs. Horm Behav. 2011 Aug;60(3):239-43. Epub 2011 Jun 14.

Nagasawa M., Mogi K., Kikusui T. Attachment between humans and dogs. Jpn Psychol Res, 2009 51(I3), 

Nagasawa, M. Kikusui, T., Onaka, T., Ohta, M.  Dog's gaze at its owner increases owner's urinary oxytocin during social interaction.  Horm. Behav. 55. 434-441 (2009)

Empathetic systems in animals:

お互いの気持の理解の原点を探して。


動物が群れを形成し、安定して維持するためには他者の得た情報を群れの中で共有し、行動を同期化させる必要があります。お互いの情動が表出され、相手に伝わる情動の伝染はその中で発達してきた機能といえるでしょう。例えば天敵情報を得た他者が想起した恐怖といった情動応答は有効利用され、群れ全体として天敵を避けるといった行動が観察されます。このことから情動伝染とは社会集団を安定に発展させることで個々の生存と適応度を上昇させる生得的機能の一つだともいえます。このような仕組みは霊長類を含む多くの動物で保存されており、例えばマウスでも他者の痛み行動を観察することで痛み反応が亢進すること、親和的他個体の存在がストレス応答を軽減させることなどが明らかとなっています。私たちのラボでも親和的な関係性がこのような情動伝染や社会緩衝作用を支えることを見出してきました。またマウスで観察されたことから、「共感性の起源」といえる神経機構が、種特異的かつ生態に適応するような形で保存されていることを示唆します。


本研究室では共感性に関与する神経回路・細胞・分子を同定を目指します。


1)情動伝染神経回路と分子の同定:マウスにおける情動伝染のモデルを用いて、他者の情動の受容に応答する神経細胞を、神経活動の履歴可視化マウスを用いて同定します。同定した細胞の機能を光遺伝学的あるいはランダムミュータジェネシスによって開発されたDesigner Receptors Exclusively Activated by Designer Drugs (DREADDs)のシステムを用いて人為的に操作し、同定した神経細胞の情動伝染発現における機能を実証を目指します。DREADDsは遺伝子改変受容体であり、内在性のリガンドには反応せず人工的に合成されたリガンドCNOのみで活性化するという特徴を持ちます。すでに本研究室ではDreadds遺伝子を組み込まれたマウスやウィルスベクターを用いた実験を開始しています。



Dreaddsシステムを用いた神経回路同定の模式図


オキシトシンの共感性に果たす役割の系統発生的役割の解明:オキシトシンは母子間の絆形成や他個体認知、さらには親和行動を司るホルモンです。近年、人やげっ歯類を用いた研究から、情動伝染や協力行動の背景に、オキシトシン神経系の関与が示唆されています。

一方、イヌとヒトは特殊な進化過程を経て、現在のような共生関係を築いてきたと考えられます。この背景にはイヌとヒトがお互いの情報を共有し、さらにその情報を元に、行動を共にする神経機構の進化的発達があったと想像されます。共感性が身体性の同期化と関連することから、まずヒト-イヌ間、ヒト-ヒト間における身体性同期化を調べます。この同期時に応答する神経部位やオキシトシン分泌変化、さらにこれら反応の基盤となるオキシトシン関連遺伝子の多型を調べ、オキシトシンの系統発生的な役割を明らかにします。さらに自律神経系応答の同期化と行動の同調を指標に、オキシトシン分泌と身体同期化に応答する機構を明らかにします。また共感性の個体差を生み出すオキシトシンの系統発生的な役割を、オキシトシン神経系に関与する遺伝子群の多型、さらに共感性の進化基盤を明らかにすることを目的として、身体性同期とオキシトシンの関与を系統間比較、さらには生態における適応理論のモデル解析を目指します。


イヌとヒトの収斂進化仮説:協調行動と認知を支える進化メカニズム

ヒトとの視線の共有や共同注視などはオオカミでは認められません。このことから、イヌはその進化の過程で、特殊な能力を獲得したと言えるでしょう。この進化の過程において、日本犬のもつ意義が高まっています。網羅的な遺伝子解析の結果、日本犬は最もオオカミに近い犬種の一つであることが明らかとなりました。そこで上記仮説のもと、日本犬の行動や認知、内分泌の特性を調べつつ、その進化において重要な変化を遂げた遺伝子の同定を目指します。


イヌの分子進化の系統樹。赤でくくった日本犬はオオカミに近いところに位置する。

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